パッシブデザインの種類はいくつあるの?世田谷区の建築会社が種類と注意点を解説します

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皆さんはパッシブデザインという言葉を聞いたことがありますか。
パッシブデザインは、自然エネルギーを利用して省エネ住宅を建てる技術のことです。
近年日本で取り入れられるようになりましたが、詳しく知っている方は少ないでしょう。
そこで今回は、世田谷区の建築会社がパッシブデザインの種類と注意点を解説します。

□パッシブデザインの目的とは?

パッシブデザインとは、太陽光や風といった自然エネルギーを取り入れ、家全体の快適な温熱環境を実現する思想や建築方法を指します。
パッシブデザインのパッシブは受動的という意味で、クーラーなどの能動的な機械に頼らない住宅デザインということを意味しています。

また、パッシブデザインの目的は、心地良い暮らしを可能にすることです。
仮にエアコンによって室内が快適になっていても、自然環境への影響を考えるとそれは本当に心地良い暮らしと言えるでしょうか。
パッシブデザインが目指すのは、人間と自然環境が共存し、両者が快適に過ごすことなのです。

□パッシブデザインの種類をご紹介

続いて、パッシブデザインの種類を見てみましょう。
パッシブデザインは、主に5つの要素から構成されています。

まず1つ目は、「断熱、気密」です。
パッシブデザインでは、室内と室外の熱の出入りを抑え、エアコンなどの暖房設備へ頼らずに室温を快適に保ちます。
日本でよく見られる部分間欠暖房では、暖房エネルギーを20パーセントから55パーセント、欧米でよく見られる全館連続暖房では40パーセントから70パーセント削減できます。
屋外の影響を受けずに1年中快適に過ごせるのは魅力的ですね。

2つ目は、「冬季日射取得」です。
これは冬に開口部から日射熱を取り込み、蓄熱して夜間に利用するというものです。
断熱性の高い開口部や、壁や床に蓄熱効果のある材料を使用すると、暖房エネルギーを5パーセントから40パーセントほど削減できるでしょう。

3つ目は、「夏季日射遮蔽」です。
これは、夏の室内への日射を遮蔽し、室内を涼しく保つというものです。
先ほどの冬季日射取得と逆の理論ですね。
日射遮蔽効果のあるガラスや、屋根に通気口を設けることで暖房エネルギーを15パーセントから45パーセント削減できます。

4つ目は、「昼光利用」です。
これは、室内の明るさを太陽光から取り入れ、照明の利用を減らすものです。
これは開口部を設け、吹き抜けや反射可能な軒裏を設置することで効果が期待できるでしょう。

そして最後は「自然風利用」です。
これは外の気温が比較的低いときに低温の風を取り入れ、建物にたまった熱を外に出すというものです。
低温の風を室内に通すことで、夏場でも涼しく過ごせるというわけですね。

□パッシブデザインの家を建てる際の注意点を解説

ここではパッシブデザインの家を建てる際の注意点を3つご紹介します。

*数字で確認しなければ効果が分かり辛い

1つ目は、削減効果が明確に計測できないことです。
パッシブデザインの大きなメリットとして「冷暖房費を抑えられる」ことがあります。
ですが、間取りや断熱性能は家により異なるので、パッシブデザインによる削減効果を正確に計測する方法がありません。

そのため冷暖房費が下がったとしても、自然エネルギーによる削減効果が体感しにくいです。
効果が不透明なパッシブデザインに投資しすぎるのは、リスクが高いので注意しましょう。

*パッシブデザインにこだわりすぎるとデザインが制限される

2つ目は、パッシブデザインにこだわりすぎるとデザインが制限されることです。
「日差しをたくさん取り入れるために、吹き抜けにしよう」
「風が通る間取りにしよう」
このように、パッシブデザインを突き詰めすぎてしまうと、間取りやデザインへの制限が多くなります。

パッシブデザインを取り入れすぎて、自分が快適に過ごせる間取りでなくなれば意味がありませんよね。
本来の目的を見失わないようにしましょう。

*建築費用が高い

3つ目は、建築費用が高いことです。
短期的にみると確かに建築費用は高額です。
ですが、建築費用が高いことは本当にパッシブデザインの悪い点といえるのでしょうか。

パッシブデザインで建てられた住宅は、構造体が断熱材で保護されており耐久性が高いです。
自分の世代だけでなく数十年後も住めると想定すれば、省エネな暮らしをすることで得られる経済的メリットは、建築にかかる高い費用をカバーできるでしょう。

パッシブデザインは自分の世代だけでなく、孫の世代まで人類の快適を目指した家の基準です。
パッシブデザインを建てることによるメリットは自分だけが享受できるのではなく、それ以降もずっと受け継がれるものなのです。
そう考えると、費用がかかるという理由だけでパッシブデザインを諦める必要はないでしょう。

□まとめ

今回は、パッシブデザインの種類とデメリットをご紹介しました。
自分が理想とするパッシブデザインを適度に取り入れて、人間にも自然にも優しい暮らしをしてみませんか。
当社では、パッシブデザインを取り入れた家づくりをお請けしています。
分からないことや気になることがあればお気軽にご相談ください。

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